統合失調症と会話の障害(吃音、呂律が回らない)
統合失調症に於ける会話の障害(吃音、呂律が回らない)はその認知機能障害より説明できます。
- ワーキングメモリーの低下(不安を惹起する記憶等は客観性の低下の為、忘れ去ることが困難です)
このことによりほぼ一定量であるメモリーの殆どを占拠することとなって、新しい記憶を残すことが困難となることがあるのです。これは他人から話しかけられた際に、相手の話を記憶出来ない、自分が話したことを記憶できないことを示唆します。相手の質問に答えずに自分勝手な話をしたり、自分の話の内容が一貫性を失うこととなるのです。 - 二次記憶(陳述記憶、エピソード記憶、手続き記憶)の障害
通常使用している言葉(ひらがな、カタカナ、簡単な漢字)が出てこない、呂律が回らず吃音となり得ます。又、普段に簡単に出来ていた会話が出来なくなることもあります。 - 実行機能障害
実行機能が障害されると、何を話してよいか分からなくなります。判断力、決断力が低下し、場当たり的な的外れな、その場にそぐわない、現実感の無い会話となります。又、一連の実行機能が停止すれば会話が止まる(思考途絶)こともあり得る。円滑に言葉を並べて離せなくなればロゴクロヌス(語間代)、パリラリア(反復言語)も起こり得ます。これは言語性チックとの関連性も否定できません。 - 注意集中、注意の保持の障害
注意集中・保持が障害されると刺激に対する慣れやパターン化が困難であることを意味します。このパターン化は客観性であり、間主観性(客観的事実と思われる事象に基づいた主観、直感)であり、これを欠落することは、とりも直さず自明性の喪失(時間的・空間的・能動的に自分が自分でない感覚)を示唆します。客観性の歪が生じることにより、過度に被害的、悲観的な会話となることは言うまでもありません。