PTSDで解離、多重人格化することはよく知られていますが、同じ強烈なストレスを受けても必ずしもこのような病的防衛機制をとることが多い訳ではありません。
多重人格化する要因として、最も大きいものはやはり個人の病的自我脆弱性が考えられます。
例えば、統合失調症の患者の場合、自明性の喪失、間主観性の喪失、客観性の歪により、ストレスを受けた際、過度に悲観的に被害的に捉えることとなります。且つそれが長期間に渡ることになる場合があります。
このことは鬱状態を悪化させ、更に認知機能の低下を招く悪循環に陥るのです。
何かストレスを受けた際に、ストレスを人一倍敏感に重く捉えPTSD(心的外傷症候群)として成立し易くなり、又解離しやすくなるのです。
又、自明性の喪失(簡単で自明のことがいきなり理解出来なくなったり、行えなくなったりする)、間主観性の喪失(客観的事実と思われる事象に基づいた主観、直感が持てなくなる)、客観性の歪により時間的、空間的同一性を失い「現実感がない」「自分が自分でない」という離人感、自我意識障害を生じ易くなります。
自我意識障害自体が既に解離していることであり、人格を分散化させてストレスに対応しやすい素地を持っていることになるのです。