鬱病かかりつけ委員会
双極性障害は欝状態の20%~50%と言われています。
双極性障害を鑑別するために、患者様に記入していただく鬱病調査票に躁状態の項目を追加することを検討しています。
DSM-Ⅳでは
(軽)躁状態
①自尊心の肥大または誇大(万能感があって気が大きくなること)
②睡眠欲求の減少(あまり眠れなくても疲れない)
③普段より多弁であるか、しゃべり続けようとする。
④観念奔逸(あちこちに興味が飛び、話がまとまらなかったり、仕事や作業も様々な物事に集中が移ってまともに完遂出来ない。
⑤注意散漫(意欲があまりにも容易に外的刺激に転導される)
⑥目標志向性の活動の増加(一旦やり始めると止められない)、または、精神運動性の焦燥(些細なことで激昂する。)
⑦まずい結果となる可能性のある快楽的活動に熱中する(経済力に不釣合いな買い物、投資、浮気や不特定多数との性交渉等)。
3項目以上4日間持続で軽躁状態。
とされています。
ここでの問題は
1)患者様から聴取する際に①自尊心の肥大③多弁⑥目標志向性の活動の増加(多動)が患者様からの聴取では判然としないことが多いこと。双極性障害は若年より発症することが多いため、軽度の躁症状を正常状態と誤認されることが多く、有無を鑑別することが困難です。
2)⑥激昂は欝状態でも生じ易いため、躁状態と欝状態との鑑別は容易ではありません。
3)3項目以上4日間持続で軽躁状態と診断することになっていますが、重症~中等度の躁鬱病では数日おき~数時間おきに躁と鬱を繰り返しますので、重症の躁鬱病を診断できないという致命的な欠陥を持っています。
この為、少なくとも3項目以上4日間持続で軽躁状態→3項目以上4回以上で軽躁状態と変更することが必要なのではと考えます。