2019年6月9日
解離性同一性障害(多重人格障害)
【1】多重人格障害の診断基準
①2つまたはそれ以上のはっきりとした他と区別される同一性、又はパーソナリティ状態の存在。
②これらの同一性、又は、パーソナリティ状態の少なくとも2つが反復的に患者の行動を統制する。
③重要な個人的情報の想起が不能であり、それは普通の物忘れで説明できない程強い。
④この障害は物質、または他の一般的身体疾患の直接的な生理学的作用によるものではない。
【2】多重人格障害患者の病識
多重人格障害患者は人格の交代や健忘をしっかりと意識することは少ない。
これは、多重人格障害が人格の統一性の障害(自我意識障害)
を引き起こし、時間的にも空間的にも自己の存在が不完全で不安定になるからである。
自分の時間的、空間的同一性を確保できなければ自分を確実に意識できない、客観視できないのである。
【3】不安定で病的な防衛機制
多重人格に於ける人格は不完全で不安定なものであり、その人格を完成度の高いものとすることはその本質より不可能である。
この、不完全な人格が、ある程度まとまった行動を起こす為には、他の人格の助けを借りなければならないことは多い。
従って、適応的行動を起こす際には、人格間の疎通性、協力が必要となるため、本来人格を分散させることにより精神的安定を図ろうとする(病的防衛機制である)多重人格化に逆行することにもなり多大なエネルギーが必要となる。
このことからも、多重人格化は究極の防衛機制(病的)と言える。