2019年6月9日
妊娠・授乳に対する向精神病薬の使用について(松島英介先生著)
妊娠、授乳に対する向精神病薬の使用に関して完全な統計はなく、著書も少ない。
アステラスより出版されている松島英介先生の文献をまとめてみた。
【1】男性への影響
向精神病薬服薬において男性への影響ははっきり指摘されていない。
【2】妊娠3週までの女性への影響
基本的には胎児への影響を考慮する必要はない。
【3】母体への影響
妊娠中は一般的に薬物に対する感受性が高まっている。
【4】胎児への影響
①妊娠4週~7週;中枢神経系、心臓、消化器、四肢等の重要な臓器の形成の奇形の可能性(形態学的催奇形性)。
②妊娠8週~15週;中枢神経系、生殖器等の奇形の可能性が残る。
③妊娠中記16週~後期;機能的催奇形性、発育の抑制、行動的催奇形性が考えられる。
④出産時;出産後48時間~2日~8日持続する中毒症状・離脱症状(興奮、易刺激性、振戦、ミオクローヌス、呼吸困難等)
分娩前に薬物を中断すると、代償不全となることが多く分娩前に薬物を中断すると母子共に危険となる。