2019年6月9日
妊娠・授乳に対する向精神病薬の使用について(松島英介先生著)
【5】授乳
生後一週間以内の新生児では、要注意である。
特にリチウムが問題となる。
【6】薬剤別影響
①抗精神病薬
全般的に催奇形性が多いという報告はないが、多剤投与、大量投与、注射剤は催危険性が高くなる。
(a)フェノチアジン系抗精神病薬
妊娠後期に投与されたフェノチアジン系抗精神病薬が母体の低血圧や陣痛の微弱化、分娩後、新生児の呼吸抑制や嗜眠、錐体外路症状を起こす報告がある。
乳汁への移行は微量で児への影響は少ない。
(b)リスぺリドン
妊娠後期に投与されたリスぺリドンにより新生児に僅かに錐体外路症状が発現した報告がある。
(c)オランザピンも乳汁への移行は少ない。
(d)スルピリドは授乳により、多少影響を及ぼす可能性がある。
(e)クロザピンは授乳により児に鎮静や無顆粒球症を引き起こす可能性がある。