2019年6月9日
解離性同一性障害(多重人格障害)
自我脆弱性の原因
PTSDで解離、多重人格化することはよく知られているが同じ強烈なストレスを受けても必ずしもこのような病的防衛機制をとることが多い訳ではない。
多重人格化する要因として、最も大きいものはやはり個人の病的自我脆弱性が考えられる。
例えば、統合失調症の患者の場合、自明性の喪失、間主観性の喪失、客観性の歪により、ストレスを受けた際、過度に悲観的に被害的に捉える。且それが長期間に渡ることになる。
このことは鬱状態を悪化させ、更に認知機能の低下を招く悪循環に陥る。
何かストレスを受けた際に、人一倍敏感に捉えPTSDとして成立し易くなるどころか、解離しやすくなるのである。
又、自明性の喪失、間主観性の喪失、客観性の歪により時間的、空間的同一性を失い「現実感がない」「自分が自分でない」という離人感、自我意識障害を生じる。
自我意識障害自体が既に解離していることであり、人格を分散化させてストレスに対応しやすい素地を持っていることになる。
双極性障害は私見では、自明性の喪失、自我意識障害を合併する症例が多いと思う。
又、基本的に鬱状態、躁状態の交代があり、この真反対の状態変化は「自分が一つでないようだ」と患者に言わしめるように、人格の変化を意識し易い疾患であるとも言える。
このことは、自我意識障害を呈す疾患は原則的に解離、多重人格化しやすい人格の脆弱性を持ち合わせており、統合失調症、双極性障害は代表的であると言える