2019年6月9日
強迫性障害に合併する基礎疾患の鑑別の重要性
【3】強迫性障害に合併する基礎疾患の鑑別の重要性
診断で挙げた2つの分類は共に、強迫観念、強迫行為で日常生活に支障が出るのですが。この二つは基礎疾患があるか否かに分けた分類です。つまり治療方法が異なります。
① 根本的に困難な状況に置かれれば、人は何度も不安な内容を考えたり(強迫観念)、その不安を解消しようとする行為や防衛行為としての確認行為(強迫行為)を行うものです。不安な思考、それを解消しようとする行為、確認行為の質や程度、頻度が過剰で生活に支障のあるものを根本的に強迫性障害と呼びます。
② 置かれた困難の現実性を過剰に深刻さを伴って歪める精神疾患が基礎疾患として存在するならば、当然のごとく強迫性障害が起こり得るものと考えます。
③ 何故、強迫性障害或いは強迫性障害様の症状(強迫スペクトラム)という語句を使用するかというと、強迫性障害は様々な精神疾患を基礎に発症していることが多く、厳密に強迫観念、強迫行為の有無だけでは診断し難い為です。
④ 換言すれば、強迫性障害は一側面から見た状態診断であり、この診断だけでは治療に効果的に直結することは少なく、治療が困難となることが多いのです。