専門医以外の一般科の先生方へのうつ病の診断について
うつ病は躁うつ病や統合失調症の鑑別が必要であり講演会・勉強会を数回行うだけでは、診断は困難である。
特に、専門医でも躁うつ病の診断率が10%~50%と一定ではなく、新型うつ病に関してもその存在、治療法に関して賛否両論ある。
専門医でも躁うつ病をうつ病と誤診する可能性は10%~50%である。
躁うつ病をうつ病と誤診した場合ラピッドサイクラーとなり、うつ状態が悪化する。
一般科で自殺されたことのある医療機関は7%前後あるとみられ、この場合、訴訟となる可能性は否定できない。
うつ病かかりつけ医委員会がうつ状態を広く拾い全てにわたって、抗うつ薬の投与を奨励した場合、うつ状態悪化の責任の一端を委員会も負う可能性はある。
法律家に有責性の有無を確認することが、先ずは先決と思われる。
A)うつ状態を広く捉え、広く抗うつ薬を投与することが自殺を減らすことに重要であり、訴訟された際に有責性が阻却されることになれば、一般科の先生方に以下の様に指導する。
①うつ病は診断困難であっても、うつ状態はSDSで診断可能であり、一般科の先生方はSDS40点以上を抗鬱薬で治療する他ない。
②うつ状態を広く抗うつ薬で治療する為、躁転するリスク、ラピッドサイクラーとなり更にうつ状態が悪化するリスクが10%~50%ある(躁うつ病がうつ状態の10%~50%)。
③うつ状態を広く抗うつ薬で治療するメリットは躁うつ病の診断につなげることが出来る事である。
④賦活症候群、断薬症候群、抗欝薬と自殺、過量服薬、過量服薬のリスクを患者に説明する。説明を受けた同意書は得っておいた方が良い。
⑤うつ状態の治療をする場合、悪化や副作用出現時に専門医に相談して頂けることが不可欠な条件である。
B)有責性が阻却出来ない場合
①DSM-Ⅳに従い鬱病を特定
②躁うつ病、統合失調症を鑑別(躁うつ病、統合失調症を鑑別することはかなり困難であるが、一応DSM-Ⅳに従う)
躁うつ病、統合失調症の場合、専門医に紹介
③賦活症候群、断薬症候群、抗欝薬と自殺、過量服薬、過量服薬のリスクを患者に説明する。説明を受けた同意書は得っておいた方が良い。
④うつ状態の治療をする場合、悪化や副作用出現時に専門医に相談して頂けることが不可欠な条件である。