日記
2014年10月5日
妊娠・授乳に対する向精神病薬の使用について(松島英介先生著)
妊娠・授乳に対する向精神病薬の使用について(松島英介先生著) 妊娠、授乳に対する向精神病薬の使用に関して完全な統計はなく、著書も少ない。 アステラスより出版されている松島英介先生の文献をまとめてみた。 【1】男性への影響 向精神病薬服薬において男性への影響ははっきり指摘されていない。 【2】妊娠3週までの女性への影響 基本的には胎児への影響を考慮する必要はない。 【3】母体への影響 妊娠中は一般的に薬物に対する感受性が高まっている。 【4】胎児への影響 ①妊娠4週~7週;中枢神経系、心臓、消化器、四肢等の重要な臓器の形成の奇形の可能性(形態学的催奇形性)。 ②妊娠8週~15週;中枢神経系、生殖器等の奇形の可能性が残る。 ③妊娠中記16週~後期;機能的催奇形性、発育の抑制、行動的催奇形性が考えられる。 ④出産時;出産後48時間~2日~8日持続する中毒症状・離脱症状(興奮、易刺激性、振戦、ミオクローヌス、呼吸困難等) 分娩前に薬物を中断すると、代償不全となることが多く分娩前に薬物を中断すると母子共に危険となる。
2014年10月12日
妊娠・授乳に対する向精神病薬の使用について(松島英介先生著)
妊娠・授乳に対する向精神病薬の使用について(松島英介先生著) 【5】授乳 生後一週間以内の新生児では、要注意である。 特にリチウムが問題となる。 【6】薬剤別影響 ①抗精神病薬 全般的に催奇形性が多いという報告はないが、多剤投与、大量投与、注射剤は催危険性が高くなる。 (a)フェノチアジン系抗精神病薬 妊娠後期に投与されたフェノチアジン系抗精神病薬が母体の低血圧や陣痛の微弱化、分娩後、新生児の呼吸抑制や嗜眠、錐体外路症状を起こす報告がある。 乳汁への移行は微量で児への影響は少ない。 (b)リスぺリドン 妊娠後期に投与されたリスぺリドンにより新生児に僅かに錐体外路症状が発現した報告がある。 (c)オランザピンも乳汁への移行は少ない。 (d)スルピリドは授乳により、多少影響を及ぼす可能性がある。 (e)クロザピンは授乳により児に鎮静や無顆粒球症を引き起こす可能性がある。
2014年10月19日
妊娠・授乳に対する向精神病薬の使用について(松島英介先生著)
妊娠・授乳に対する向精神病薬の使用について(松島英介先生著) ②抗鬱薬 (a)三環系抗鬱薬 クロミプラミンは心血管系の奇形が多いという報告もある。 アミトリプチリン多量投与で多発奇形の報告がある。 妊娠中の大量投与は原則として控えるべき。 三環系抗鬱薬の乳汁移行は微量と考えられている。 (b)SSRI(フルボキサミン、セルトラリン、エスシトラプラム)では催奇形性に影響はない。 但し、パロキセチンは心室中隔欠損等の心血管系の異常が増加する可能性、又、否定的な報告もあり一定の結論は出ていない。 SSRIの乳汁移行は微量と考えられている。 (c)SNRI(ミルナシプラン、デュロキセチン)、NaSSA(ミルタザピン)はまとまった報告自体がない。

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