強迫観念;そこまで気になるはずの無い、或いはどうでも良いはず(自分でも違和感を感じます)な思考や衝動、イメージが、頭に度々浮かび消去し難いことを強迫観念と言います。
強迫行為;強迫観念に駆り立てられ、その不安を消去、防御しようとして行う反復行動を強迫行為と言います。
上記のどちらかがある場合を強迫性障害と言います。
強迫性障害の結果、当然に不安感、焦燥感を伴うことが多くなります。又、日常生活の範囲が制約、障害されるため自信を失うことが多く、鬱状態となり易い状況であると言えます。
強迫性障害の診断
強迫性障害
何度も気になる思考、衝動、イメージがその状況に比して過大な場合や確認行為の質や程度、頻度が困難さがその状況に比して非相応で過剰なもの。
例えば何度も施錠を確認しているが、泥棒に入られ、通帳やお金等大事な物が盗難にあうのではないか(強迫観念)という不安が収まらず、何度も確認してしまう(強迫行為)。
強迫性障害様の症状
何度も気になる思考、衝動、イメージがその状況に比して相応な場合や、確認行為の質や程度、頻度が困難さがその状況では相応の程度であるが、置かれている状況は改善することはなく、気になってしょうがない(了解可能)場合。
例えば、顔を整形した女性であるがその傷がなかなか治らない。整形担当医や他の医師(セカンドオピニオンを求められた)も時間が経てば必ず治癒すると言われているが。何度も顔の傷を確認する。
基礎疾患の鑑別の重要性
根本的に困難な状況に置かれれば、人は何度も不安な内容を考えたり(強迫観念)、その不安を解消しようとする行為や防衛行為としての確認行為(強迫行為)を行うものです。不安な思考、それを解消しようとする行為、確認行為の質や程度、頻度が過剰で生活に支障のあるものを根本的に強迫性障害と呼びます。
置かれた困難の現実性を過剰に深刻さを伴って歪める精神疾患が基礎疾患として存在するならば、当然のごとく強迫性障害が起こり得るものと考えます。
何故、個人的に強迫性障害或いは強迫性障害様の症状(前者及び後者を併せて強迫スペクトラム)という語句を使用するかというと、現在の強迫性障害(個人的には強迫スペクトラム)は様々な精神疾患を基礎に発症していることが多く、成り立ちの異なる様々なものが混在しています。強迫観念、強迫行為の有無だけで一元的に診断、治療しては病状は改善し難いといえます。
換言すれば、強迫性障害は一側面(強迫観念、強迫行為という)から見た状態診断であり、この診断だけでは治療に効果的に直結することは少なく、治療が困難と言えます。
強迫性障害の治療
(例えば、躁鬱病、統合失調症、ある程度重症度の高い鬱病、発達障害等です。)
何故なら、歪んだ現実感・客観性に対して、現実、客観性に基づいたロジックで修正をかけよう(認知行動療法)としても次元が異なり、奏功し難い為です。
勿論、支持的、共感的精神療法は治療意欲を維持する為に必要です。
現実性、客観性の歪みが修正された後に、認知行動療法を行うと効果が期待できるようになります。
強迫性障害に対する認知行動療法では具体的には暴露反応妨害法を使用することが一般的です。恐怖を抱く場面に身を置き、その恐怖に慣れることにより克服してゆく方法です。
認知行動療法
先ずは、強迫観念や強迫行為にまつわる不安、苦痛を特定します。
次に強迫観念、強迫行為の中でコントロールし易い行為から取り掛かります。
強迫観念を急に又、強引に否定しないようにします。
強迫観念の思考を出来るだけ延期してみます。
強迫行為に取り掛かる迄の時間を少し遅らせるように我慢してみます。
強迫観念を考えて処理する時間帯を決めてみる。
強迫行為の間、焦らず強迫観念をゆっくりと考え、行動するようにします。
強迫行為をゆっくり行い、回数を減らします。
強迫観念よりは強迫観念に伴う強迫行為の制御を優先。強迫行為の制御による日常生活の支障を改善し、これにより強迫観念を改善しやすくします。
強迫行為の一部(決まった行動、決まった考え、行為の順番、繰り返しの回数・頻度、大勢・構え、場所等)を変えてみます。
強迫観念を行えないような環境、或いは楽しい環境に身を置いてみます。 意識をそらして、強迫観念、強迫行動を抑制します。例えば、友人と電話したり、外出して不安をそらしたりします。
強迫性障害の薬物療法
何度も気になる思考、衝動、イメージがその状況に比して相応な場合や、確認行為の質や程度、頻度が困難さがその状況では相応の程度であるが、置かれている状況は改善することはなく、気にしてもどうもならない場合(強迫性障害様症状)には、SSRI,三環系等の薬物療法となります。