福岡県粕屋郡新宮町(福岡市東区隣接)の心療内科・精神科のこころのクリニックゆめです。
こころのクリニック ゆめ
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高機能広汎性発達障害(中枢性統合の弱さと執行機能の障害)

高機能広汎性発達障害(中枢性統合の弱さと執行機能の障害)
【1】中枢性統合の弱さ
中枢性統合は入力される情報の共通性、普遍性を見出し、その特性を意味づけし分類、パターン化することである。これは包括的情報処理である。
この為、子細な情報処理=局地的情報は包括的情報処理に内包され包括的情報として処理される。
これらは自然な自明性の喪失や間主観性の喪失、客観性の歪により十分に説明できる。
自明性の喪失や間主観性の喪失、客観性の歪により1+1=2という基本的公式が時に脱落するならば、ありとあらゆる公式=普遍性=特性に付与された意味は恐ろしいことに変性してしまう。勿論これは統合失調症の中核症状であるが。
こうなると、その場での狭い情報処理=局所的情報処理のみが起こり、自己の安定感は失われる。
この為に普遍性、安定性を保持しようとして強迫行為、強迫観念が起こる。
又、安定感、普遍性の残存する部分(狭い範囲の興味)に於いての行動が優先されるため、狭い範囲内の常同行為、パターン化行動が起こる。
局所的情報処理を頻回に又、多くの時間せざるを得ない為子細な部分への意味づけは亢進すると思われる。
【2】執行機能
執行機能とは
①認知的柔軟性。
②優勢であっても、無関係な反応を抑制する事。
③経験から原則を引き出すこと。
④必要な情報と不必要な情報を選別する。
⑤自分の望む目標とそれを実現するのに必要な手順を頭に入れておくこと(ワーキングメモリー)。
これらの執行機能は中枢性統合の存在が必須である。
【3】中枢性統合の弱さと執行機能の障害
中枢性統合の障害により入力情報に対する認知も歪み、認知したとしても自分固有のものとして情報を自己矛盾のない安定化した統合が出来ない。
これは「経験する自己」の欠如とも言え、更に自己存在の時間的連続性を揺るがすものと言える。
執行機能は当然に障害され、自己目的、目的的行動の一貫性、及び実現は障害される。これらが頻度、量ともに多くなれば、自己表現、自己主張、自己実現が困難となり、自信を失い、引き込もることも容易に推測される。
中枢性統合の障害、執行機能の障害は自我意識障害を引き起こす可能性を示唆する。
これら、自明性の喪失、間主観性の喪失、客観性の歪に基づく諸症状は後天的、思春期以降に生じた自己機能低下と言われることがあるが、統合失調症も発達障害も共に遺伝的なものであり、統合失調症とPDD等の発達障害を発症時期で区別することは不可能であり病態として全く同じである。
これは統合失調症の診断が妄想・幻覚優位に診断されていることが原因であり、自明性の喪失、間主観性の喪失、客観性の歪、自我意識障害に基づく診断に変更すべきことを示唆している。